食物アレルギー

食物アレルギーについて

食物アレルギーについて

食物アレルギーは食べものがアレルゲンとなってじんましんなどのアレルギー反応による症状が起こる疾患です。経口摂取に加えて、皮膚を介して体内に食べものの成分が入り込んでしまい発症する場合もあります。
日本小児アレルギー学会が編集した食物アレルギー診療ガイドライン2021では、食物アレルギーを「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義しています。
なお、乳糖不耐症は乳糖を消化できないことで起こり、乳糖がアレルゲンというわけではありませんので食物アレルギーではなく、食物不耐症に含まれます。

食物アレルギーの種類

新生児・乳児食物蛋白
誘発胃腸症

主にIgEが関与しない機序により、新生児・乳児期早期に嘔吐や下痢、血便といった消化器症状が現れるアレルギーで、生後、最も早い時期に発症するアレルギーとされています。

食物アレルギーの関与する
乳児アトピー性皮膚炎

乳児アトピー性皮膚炎に合併して認められる食物アレルギーで、食物に対するIgE抗体の感作が先行し、食物が湿疹の増悪に関与している場合です。ただし、すべての乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与しているわけではありません。

即時型症状

原因となる食べものを食べてから通常2時間以内にかゆみや腫れ、じんましんといったアレルギー症状が出現する食物アレルギーの最も典型的なタイプです。

特殊型

生野菜や果物を食べると口内や周辺にアレルギー症状を起こす口腔アレルギー症候群(OAS)、原因となる食物を摂取後に運動することで症状が現れる食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)があります。

症状

食物アレルギーでは、皮膚症状が現れることが多く、他にも粘膜症状、呼吸器症状などが現れ、複数のアレルギー症状を起こすこともあります。

皮膚症状

  • 皮膚のかゆみ
  • 湿疹
  • じんましん

など

粘膜症状

  • 結膜(目の粘膜)・鼻腔や口内など、粘膜に現れる症状
  • 腫れ
  • 充血
  • 鼻水
  • 違和感

など

呼吸器症状

  • のどの違和感や腫れ
  • 声がれ
  • 胸部の圧迫感
  • ヒューヒューゼイゼイする喘鳴
  • 呼吸困難

など

消化器症状

  • 腹痛
  • 下痢
  • 吐き気・嘔吐
  • 血便

など

神経症状

  • 頭痛
  • 失禁
  • 意識障害

など

循環器症状

  • 血圧低下
  • 不整脈
  • 四肢冷感
  • 脈が速い(頻脈)
  • 脈が遅い(徐脈)
  • 顔面や指先が蒼白になる

など

アナフィラキシーショックとは

アナフィラキシーはアレルゲンが体内に入ることで、複数の臓器に全身性のアレルギー症状を起こす過敏反応です。そのうち、血圧低下や意識障害を伴うものはアナフィラキシーショックと呼ばれます。命の危機に関わる可能性のある状態であり、すぐに適切な処置や治療が必要です。

治療

食物アレルギーは正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去を基本に治療することが重要です。
食べると症状がでる食物は除去が必要ですが、念のため、心配だからと必要以上に除去してしまうと、お子様の成長に欠かせない栄養素が足りなくなってしまいます。そのためにも実際に食べても症状が出ない食物は除去しないことが重要であり、たとえ原因食物でも、症状が誘発されない食べられる範囲までは積極的に食べることが望ましいです。
また、乳幼児の食物アレルギーは成長と共に食べられるようになることが多いため、定期的な評価や検査を行い、食べることができる範囲や量をできるだけ広げていくように治療を進めていきます。

経口免疫療法

医師の管理のもとで、アレルギーの原因となるアレルゲンが含まれる食品を少量ずつ食べ、症状の有無や程度に合わせて食べる量をコントロールし、問題なく食べられる耐性化を目指す治療法です。専門の経験を積んだ医師の厳格な指導のもとに行われる必要があり、臨床研究の対応や処置が可能な病院で行われています。
食物アレルギーのうち、鶏卵・牛乳・小麦・大豆のアレルギーに関しては、成長と共にほとんどの場合は耐性を獲得し、問題なく食べられるようになります。

予防

自己判断で食品を除去してしまうと、お子様の成長に必要な栄養が偏ってしまい、成長に影響がでる可能性があります。
ハイリスクだからと特定の食品の摂取開始時期を遅くしても、発症リスクは変わりません。また、妊娠中や授乳中に母親が特定の食品を除去しても予防効果を得られないことがわかっています。
間違った情報に惑わされないよう、疑問や不安を医師にしっかり伝えて、十分に理解した上で治療を進めることが重要です。
なお、新生児から正しいスキンケアを適切に行っていくことは、アトピー性皮膚炎の予防に役立つことがわかっています。

日本小児
アレルギー学会による
「鶏卵アレルギー発症予防」
に関する提言について

アトピー性皮膚炎のある乳児が鶏卵摂取の開始時期を遅らせてしまった場合、摂取開始時期が遅ければ遅いほど鶏卵アレルギーの発症リスクが高いことが判明しており、鶏卵アレルギー予防には早期に微量の摂取を開始することが推奨されています。
アトピー性皮膚炎のある乳児の鶏卵アレルギー発症予防には、まずは湿疹のコントロールを十分行い、医師の管理のもとで生後6か月頃から鶏卵摂取を開始するようお勧めしています。なお、鶏卵摂取を開始する際には、アトピー性皮膚炎の皮膚症状が消失し、寛解状態であることが望ましいとされています。
自己判断で摂取を開始するのではなく、医師に相談して適切に始めることが重要です。また、すでに鶏卵アレルギーがある場合は特に、急激な鶏卵摂取・加熱が不十分の鶏卵摂取を行うことは非常に危険です。リスクがある場合の鶏卵摂取は、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎に精通した医師が管理し、ガイドラインを遵守して行う必要があります。
なお、こうしたアレルギー発症リスク低減のための微量摂取は、鶏卵以外の食品に関してはまだ十分にわかっておらず、推奨されていません。

食物経口負荷試験について

食物経口負荷試験とはアレルギーが確定しているか、もしくは疑われる⾷品を単回または複数回に分割して摂取させ、誘発症状の有無を確認する検査です。(食物アレルギー診療ガイドライン2021)
食物アレルギーは、血液検査や皮膚テストで陽性の場合でも実際に食べて症状が現れないケースがあり、逆に検査結果は陰性でも症状が現れるケースがあります。食物経口負荷試験を行うことで、摂取による症状出現の有無が確認できるため、食物アレルギーの確定診断や安全な摂取可能量の決定および耐性獲得の診断が可能です。
食物経口負荷試験の結果をもとに、特定の食品の完全除去を行うこともありますが、症状が現れない一定の範囲や量までの摂取が可能になることもあり、早い段階で少量ずつ摂取を開始する治療が行われることもあります。
食品の除去は、栄養の偏りによって成長に影響する恐れがあります。また、周囲が問題なく口にしているものを我慢することはお子様にとって大きなストレスになります。こうしたことから食品の除去は必要最小限にすることが重要になり、そのためには適切な検査による正確な診断が不可欠です。
当院では、正しい診断と必要最小限の除去を基本に治療を行っています。

学校生活管理指導表

学校生活管理指導表とは

食物アレルギーのあるお子様が、安心して集団生活ができるよう、医師が記入して園や学校に提出する書類です。園や学校での給食やお弁当などに配慮が必要な場合に提出します。食物アレルギーは対象の食品や現れる症状の内容が大きく異なります。同じ鶏卵のアレルギーでも、卵を全く食べられないケースから、少しなら大丈夫なケースがありますので、そうした情報を正確に園や学校に伝え、しっかり管理できるよう学校生活管理指導表が用いられています。
乳幼児や小学校低学年の学童期には、最低でも毎年1回は除去内容を見直す必要があると考えられています。

学校生活管理指導表の
提出が必要な方へ

学校や園での生活において給食やお弁当などに特別な配慮が必要な場合は、学校生活管理指導表の提出が必要です。
提出は、入学・入園時や年度はじめの4月が大半を占めていますので、毎年その時期になると学校生活管理指導表の記入を希望される方の受診が増えます。学校生活管理指導表への記入を希望される場合には、スケジュールに余裕を持って受診いただくようお願いしています。
特にはじめて受診される場合は、問診と診察を行った上で学校生活管理指導表を当院で記入できるかを判断する必要がありますので、早めにご相談ください。なお、以前に当院以外の医療機関で血液検査などのアレルギー検査を受けたり、学校生活管理指導表への記入をしていただいたことがある場合には、その資料をご持参いただけるとスムーズな診療が可能になります。

注意事項

事前に学校生活管理指導表を学校や園から受け取り、受診の際にそれをお持ちいただいてご相談ください。
なお、診察の結果、さらに専門性の高い検査や診療が必要と判断された場合には、当院では記入せず、連携している高度医療機関をご紹介していますので、あらかじめご了承ください。

学校生活管理指導表を
記入してもらうときが治療を見直すチャンス!

食物アレルギーは成長と共に症状が変化しますので、園や学校には基本的に毎年提出する必要があります。原因食物や発症年齢などによっても異なりますが、鶏卵、牛乳、小麦は年齢を経るうちに食べられるようになる子どもが多く、学校生活管理指導表の記入は毎年行われますので、食物アレルギーを見直す頻度としてベストタイミングでもあります。

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